♪お喋り笛吹きによるフルートブログ♪
「フルートを始めよう!楽しもう!極めよう!」

2005年10月10日

モーツアルトフェスティバル2005

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友人のお母さんがモーフェスと名づけた、毎年恒例のフェスティバルモーツアルトが今年も行われた。
今年モーフェスは10周年を迎え、プログラムやパンフレットもカラー写真つきのおニューバージョンで豪華に行われたのだった。そして私は今年も裏方・縁の下の力持ち。縁の下の力持ちとは良く言ったもので、パンフやプログラム運び・会場準備(こっちはお城とか教会で演奏会をやるので、椅子の準備とかを自分達でする事が多い)、飲み物運び等、まさに力持ちになった。


準備はやたらと疲れるけれど、色々な音楽家がやってくるので楽しいし、そんな彼らの裏の顔を見るのも楽しい。有名な人のすぐ横にいるっていうのも、ミーハー根性がウキウキする。ウキウキに始まり最後はクタクタになるモーフェスなのだった。
ベルギー一年目から先生の腰巾着として侵入していたこのモーフェス。二年目は彼氏の腰巾着、三年目は彼氏の彼女兼ちょっと手伝い。四年目は完全な下働きに昇進。現在の五年目に至る。もう5年ベルギーにいるのか!と驚き。

今年は裏方兼彼の許婚として色々な人に紹介された。ハガイ・シャハムさんというヴァイオリン奏者は「Nice to meet you」と私が現れるとすぐに手を差し出してきてくれた。 それは嬉しいのだが彼とは既に彼の腰巾着だった時代にモーフェスであっている。まぁ忘れたんだろうと思いつつ、突然の紹介に舞い上がっていた私は
「私達はもうお会いしています」
とキッパリ言ったのだった。彼は意外な私の反応に吃驚して、
「そうかな、会っていないでしょ」
と私の記憶を否定するので、
「証拠に、一緒に写っている写真があります」
と言おうとしたのだけれど、久々の英語に動転していた私は、
「フォト、フォト」と呻いているだけだった。
彼は私の呻きを安心したように理解し、
「そうだよ。写真で僕を見た事があるんだよ」
と言っているのに、口が思い通りに動かなくなっている私は「私はあなたを知っている」を繰り返していた。 ハガイさんが気まずくなった所で、お母様はすかさずエル・バシャさんに仏語で紹介した。エル・バシャさんはレバノン出身のピアニストで、大分古いお付き合いの人。彼はアラブ大富豪の貴公子といった雰囲気の人で、大変優雅にゆったりと 「初めまして、お会いできて光栄です。ダニエル(私の彼)は、大変素晴らしい選択をしましたね」 といった。相変わらずアタフタしていた私はすかさず、
「メルシ。私たちお会いしています。大分前からフェスティバルに来ていましたから」
と言ってしまった。お母様は
「そうね、そうね。彼女はマルクの生徒だったしね。」
とフォローを入れてくれた。しかしエル・バシャさんは、ハガイさんより素早く社交的機転を利かせ
「ああ、フェスティバルと音楽が僕達の頭から全ての記憶を取り除いてしまうんですよ」
と貴公子で優雅な雰囲気を崩さぬまま言っていらした。
普通に考えれば、あんな有名な人は世界中を駆け回っていて、会う人間の数もただ事ではない。同僚の生徒の顔やしょっちゅう変わる恋人達の名前まで覚えているわけがないのだ。気の利かない対応で駄目嫁印象をさらに強めた私だった。

エル・バシャさんは、真面目でジョークなんか一つも言わないキャラなのかと思ったら、意外とたまにはジョークらしい事をいう。ある古城での演奏会でダニエル・ブルメンタルさんとお母様が2台ピアノの為のラヴェルの「ワルツ」を弾いている時、私はホールの外でセッセと飲み物とお菓子の準備をしていた。するとエル・バシャさんが突然「踊りましょう」と私の手をとり腰をとり、ホイホイと踊りだした。ワルツなんて踊れないので、大型犬に振り回されるようにヨタヨタしているだけの私。力なき反復横跳びのようなワルツを30秒程踊りながら、氏の足を何回か踏み付けマルク(元先生)を爆笑させた。まぁ次回はワルツの与太造ってくらいには覚えていてほしいものだ。


そんな腰巾着で誰の気にも止まっていない私だけれど、ほぼ毎年来ている、私のお気に入りのアレクサンドル・ドミトリエフ(愛称サーシャ)さん(参照モーフェス2004)は、会うとすぐにとても親しげな笑顔で「元気?」と言ってきてくれて、彼に再会するのがとても楽しみだったのでとても嬉しかった。
彼は「君の日本のお土産、とっても美味しいよ」と、私がご両親にお土産で買った生八橋を指して言った。ご両親はモーフェスメンバーのおやつにとって置いたらしい。「生八橋っていうの。私も大好きです」と言うと、彼は「ナンマヤチュハシ・・・」と、納得しながら食べていた。彼はとても気に入ったらしくて、他のメンバーに食べられないよう、毎回丁寧に隠して毎日の楽しみにしていた。仏のようで意外と可愛い所もあるらしい。
サーシャさんはいつも私達下働きの手伝いをしてくれて、本当に優しいのだ。フェスティバルに招待されて来る人達は、基本的には「全てが自分の為に準備されている」という前提で生活しているのに、そんな中いくら10年来の仲とはいえ、下働きまで手伝ってくれるのは例外的に親切なのだ。 彼は弾く時も普段もまるで仏のように悟った顔をしている。演奏後舞台上でどんなに「ブラボー!」とか言われても、だいたい悲しげな顔か、笑っても口角が微妙に上がる程度。一方で目が崩れる優しい笑顔で日本に行った時に見た温泉の話、猿の話、オーストリアに行った時のコアラの話しを、夢中に子供のように話していて、そんな所も素敵だった。

モーフェス2003に来ていて、やはり古いお付き合いのチェロのミハエル・ハランさん。相変わらずマイペースで優しい雰囲気を漂わせていた。彼も率先して私達の下働きを手伝おうとするのだけれど、ちょっとドジな所があって、炭酸飲料を次から次へとゴロゴロと落としてしまって淡淡にさせてしまったり、レストランで食事中皆に挨拶をしようとして、ソースを零したり、瓶を倒したり、周りが慌てて直すのだけれど、そんな事をまるで気にしないで挨拶を続ける、本当にマイペースな人なのだった。
一昨年から毎年来ている、ブリジット・エンジェレーさん。 彼女が開幕の演奏会で弾いたバッハはとても良かった。 見た目は怖い(と私は思っている)けれど、中身は一瞬怖いようで優しいらしい。一度コカコーラを入れすぎたら「入れすぎよ!」と恐ろしい剣幕で言われ、慌てて減らすと「メルシ」とものすごく優しい笑顔で言われたのだけれど、彼女は全てがそういう感じらしく、とても怖く不躾かと思うと、とても優しいという二面性を持っているらしい。 すごいヘビースモーカーでレッスン中も、練習中もスパスパ吸っているので、一年目に来た時から既にドスの効いた声だったけれど、去年から1000箱吸っている計算になる彼女の声は一段とガラガラになっていた。次回は声が聞こえるのか心配。

ほぼ毎年来ているクラリネットのミッシェル・ルティエックさん。御茶ノ水博士に似ている。冗談が大好きらしくて、犬の真似をして「ワンワン」と鳴きながら、人の足を手で掴むというのが特技。他にも「中国の竜」という、箸や爪楊枝を牙みたいにして口から出すだけという技もある。一度すごいスペイン語訛りの仏語で、スペインの音楽事務所の人間を語り、お父様に「明日スペインで演奏会あるけど、もう空港に着いた?」と電話をしてきて、お父様を焦らせた事もある、ものすごい冗談の達人なのだ。フェスティバルの最中も、ずっと冗談を言い続けていて、笑いの絶えないどこかのオジサンといった雰囲気だけれど、それでも有名なクラリネット吹き。

今年で二年目の、ヴァイオリニストのオリビエ・シャルリエさん。この方は2年目という浅いお付き合いなのに、このフェスティバルの財政がギリギリという内情を悟っていらっしゃるのか、苦情一つ言わず舞台準備をしたり、運転手をしたりしてくださった。
このフェスティバルは個人経営なので、大きな事務所がやるような快適な環境をつくれなかったりするから、時々音楽家による不服申し立てが起こる。 ホテルが立派じゃないとか、移動が不便とか、この曲は弾きたくないとか、やっぱりあるのねそういう裏事情みたいな苦情が出る。 このクラスの有名人は、裏仕事なんて自分でやる事などはまず有り得ないのだろう。しかしモーフェスは財政ギリギリフェスティバル。舞台スタッフなんていないので、パパや彼や男性演奏者がピアノを動かしたりしているのだけれど、「手伝おう」とは思わないのが一般的な招待演奏者らしい。意地悪とか気が利かないというのでなく、普段の生活からしてそれが当たり前。
しかしオリビエさんは舞台準備や運転手を快くしてくれて、下働きにもお疲れ様とか有難うとか言ってくれる。近くにいると大物にも思えない、そういうとても親切で気さくな方なのだ。

まだまだ沢山の方が来たけれど裏話はこんなもので。しかしこのフェスティバルに来ている方々には、年に100回〜200回位演奏会があって、200〜300日家にいない。ホテルと飛行機だけで連続2ヶ月過ごすなんて人もいる。遠距離恋愛、遠距離夫婦、遠距離家族。フェスティバル中に抹茶マドレーヌを作ったけれど、そんな事も出来ないだろうし、メールマガジンだって書けないだろう。最も皆それを楽しんでいるだろうけれど。
有名人って大変だなって思ったりもする。自分のへっぽこ具合が何とも嫌になる時もあるけれど、やっぱり家でノンビリしている時は至福の時。そんな有名人になる心配もないけれど、今よりちょっと状況が良くなればいいかなぁ。

posted by お喋り笛吹き at 00:00| Comment(0) | 留学記(03−06年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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